恋愛セミナー41【柏木】第三十六帖 <柏木 かしわぎ> あらすじ柏木の状態は悪くなるばかりで、父・元の大臣も母も嘆いています。 女の物の怪が憑いてらしく祈祷を懸命にさせていますが、 柏木は「女三宮の生霊ならばこの身は惜しくない。」と思っています。 小侍従がやってくると、柏木は女三宮に文を託しました。 「私の荼毘の煙は消えない思いとなって残るでしょう。どうか哀れとだけでも。」 強いて女三宮に小侍従が書かせた返事には 「憂いとともに私も消えたい。あなたと私の惑いのどちらが高く立ち昇るか、煙くらべをしながら。」 柏木は、この歌を胸に死のうと思うのでした。 女三宮は苦しみながらも男の子・薫を産みました。 源氏は世間に顔を見られる男の子であったことを残念に思いますが、自分の今までの罪をあがなえるかもしれないと感じています。 源氏の息子誕生は盛大に祝われ、六条の女性たちは祝いの品を届け、帝からも正式な儀式を受けました。 女三宮は産後の肥立ちが悪く、しきりに尼になりたがっています。 ある夜、父・朱雀院が女三宮の様子を見に、無理に山を降りてやってきました。 源氏は恐縮して迎えますが、女三宮はその場で「尼にして欲しい。」と頼みます。 女三宮に対して源氏が冷たい扱いをしていると聞いていた朱雀院は承知し、すぐに髪を下ろしてしまいました。 「私の出家後、女三宮が心配だったのであなたに嫁がせたのです。尼姿になって命が永らえましたら どうか続いてお世話くださるように。」と言い放つ朱雀院に、身の置き所のない源氏。 そこへまた、あの物の怪が現われました。 「紫の上が生き返ったと喜んでいたのが恨めしかったので女三宮に憑いて尼にしてやったのだ。さあ帰ろう。」 源氏は物の怪のせいで女三宮を尼姿にしてしまったことを悔やみ、さらに祈祷を続けさせます。 柏木は女三宮の出産と出家を聞き、ますます容態が悪くなりました。 夕霧が見舞うと妻・落葉の宮のことを頼み、源氏と行き違いがあったことを曖昧に伝える柏木。 どんな行き違いか夕霧にはわからないまま、柏木はとうとう亡くなってしまいました。 元の大臣は激しく嘆き、弔いの儀式をすることも覚束ないほどです。 薫が生まれて五十日の祝いが尼になった女三宮の寝殿で行なわれます。 尼宮になってかえって美しさが増している女三宮を惜しむ源氏。 源氏が抱き上げると、無心に笑う可愛らしい薫はやはり柏木に良く似ているようです。 元の大臣が柏木の忘れ形見がないことを悲しんでいるのを聞いても、薫のことを伝えるわけにはいきません。 子を残してはかなく亡くなった憐れさに、柏木を恨む気持ちが解けてゆく源氏なのでした。 夕霧は柏木がやはり女三宮のことを言いたかったのだろうかと考えています。 父・源氏にも折りをみて訊ねてみよう思う夕霧。 柏木に頼まれたとおりに落葉の宮のもとに出かけると「柏木さまがいらしたかと。」と女房達は喜び、 母・御息所もありがたいと迎えます。 夕霧は柏木を亡くしたことを共に泣き、慰めつつ、落葉の宮にだんだんと関心を寄せてゆくのでした。 恋愛セミナー41 1 源氏と女三宮 先をこされた夫 2 柏木と女三宮 儚く終わった恋 3 夕霧と落葉の宮 友人が残した妻 薫の誕生、女三宮の落飾、柏木の死。 目まぐるしい変転です。 柏木が病に倒れたのも、女三宮が尼になったのも、六条御息所の物の怪のしわざでした。 源氏の恨みとともに柏木に憑いた物の怪。 源氏自身の生霊も伴なっていたかも知れません。 朱雀院のきつい言葉はどうでしょう。 いままで、源氏には頭が上がらなかった兄。 出家を果し、世の栄華や恋を捨てたことで源氏を越えた朱雀院。 いつも曖昧な朱雀院とは思えないほどの決断のすばやさ。 源氏の約束不履行をこれ以上はない形で責め、恥をかかせます。 これも物の怪の後押しなのでしょうか。 けれど女三宮が尼になったことに、源氏はかえってほっとしている面もあるのです。 これから先、どうしても愛することはできない美しい女三宮を目にしてゆくくらいなら、 尼になった方が世話をしやすい。 源氏といえども、尼になった女性とは関係をしていません。 これもまた、源氏が呼んだ物の怪と言えますね。 源氏の子供として祝福されて生まれた薫。 美しく成長してゆくこの幼子は、どんな運命を歩むのでしょう。 さて、夕霧の新たな恋の予感です。 親しかった人の死を嘆きあうという、人同士がもっとも近しくなれる状況。 真面目な夕霧のアプローチを、これからつぶさにご覧下さい。。 ジャンル別一覧
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